2012年は、全人的医療および統合医療の分野で、トルネード旋風とでもいえるような、明らかな飛躍的発展があった年でした。
日本統合医療学会の埼玉大会(1月、埼玉医科大学)、がん統合医療国際会議(2月、東京医科歯科大学M&D大講堂)、日本統合医療学会の大阪大会(12月、大阪大学医学部コンベンションホール)では、それぞれの学会の各セッションが非常に活気を帯びてきて、目を見張る発展があり、医学と医療の最先端の研究をされているような先生方や現代医療の第一線にいる先生方も、統合医療の学術大会に、より多く参加してくださるようになり、統合医療という分野が、最先端医療を取り込み、ますますハイレベルになってきて、新しい視座と内容の充実が学会にもたらされた飛躍の年でありました。
特筆すべきことは、3.11の震災によって、災害と医療という問題が非常に重大視されたときに、統合医療が現場でとても活躍できた、ということです。西洋医学の検査や投薬では、被災地の避難民の方々の現場での体調不良や心身不調をカバーできないところを、他の補完・代替医療の専門家も加わって、統合医療チームとして、現場の人々のケアにあたったところ、ふさぎこんでいた人々の心を開き、彼らの笑顔を取り戻し、心身も楽になったと好評で、たいへんよろこばれ、感謝されたとのことです。そのような実体験からも、いざという災害の際も、統合医療が実際に役立つという価値をしっかり確認できたようです。
また、大阪大学医学部での調査によると、患者さんの満足度を調べますと、明らかに統合医療という形をとる方が、非常に満足度が高い、という統計的調査の結果も出ているようです。
25年前と比べますと、最近では「全人的医療」を目指す、というような大学病院の案内文をけっこう見かけるようになり、大学医学部の入学案内でも、本学は「全人的医療教育」を心がけていく、という挨拶文が目立つようになってまいりました。
また、今回、大阪大学医学部のコンベンションホールを使って学会の大会を開催できたということは、25年前、まだ全人的医療という言葉がほとんど認知されていなかった時代より、日本ホリスティック医学協会創立時からの草の根的活動から関わり、さらには日本統合医療学会発足以前から統合医療に関わってきた私にとっては、奇跡のようなことであり、全く想像もつかないことでしたから、なんともいえない気持ちになり、感無量でした。
また、諸先輩先生方の情熱と不屈の行動力による、熱心なはたらきかけのおかげで、地域振興と復興を兼ねた国家プロジェクトレベルでの、統合医療研究センター構想も、着実に進展しつつあるようで、経済力と技術と頭脳と感性の豊かさに恵まれた、この日本から世界に冠たる最高レベルでの統合医療モデルが充実し、現場の医療に貢献するとともに、日本から世界へ発信されて、そのような知恵が伝わっていくことを願ってやみません。