● さて、日本で若手の実践的なマーケティング指導の第一人者で、自身も起業家としてたいへんな成功を収めている神田昌典氏が日本に紹介した、ロバート・アレンという米国で億万長者づくりで有名な講演家は、起業、株式投資、不動産売買、ライセンス収入などの、複数の収入源を確立することの重要性を説いています。たとえ、そういう複数の収入源を得て、数100億円の資産を築いたとしても、もし、自らの健康を損ない、病気に倒れ、命を落とすならば、たとえ、100億円持っていたとしても、100億円×0=0。100億円せっかく苦心して儲けたにせよ、死んでしまえば、本人が、あの世で使うべく、棺おけの中に入れて持っていくわけにもいきません。
● つまり、本人が死ねば、すべての蓄積は、掛け算しても、結局ゼロにしかならない、という、誰にでもあてはまる、きわめてきびしい現実があるわけです。この点をはっきり洞察して指摘しているロバート・アレン氏は、たいしたものだと思います。ロバート・アレン氏自身、2004年に自動車事故で瀕死の重傷に遭い、ますます、今、生きていられる自分のありがたさを身にしみて感じたそうです。
● このような事実は、まだ年若く、バリバリ無理して働いてもなんとかなり、ちょうど波に乗っている時期で、健康のことなど気にもとめないような元気な事業家や経営者には、なかなか理解できないことでしょう。
● だからこそ、一大盲点になのです。
● 大病してからでは、なんとかしようにも、なんともならず、すでに遅すぎるケースがあまりにも多いのですから。私は、そのようなケースを実際にいくつも目にしてきました。
● 事業家として優れ、経営能力のすばらしく、人望もあり、皆から慕われていたような人が、志半ばにして、急に病に倒れ、亡くなる――これほど、周りの人間や家族にとってつらく、また、大きな損失はないでしょう。
● しかし、ちょっとした健康管理の知恵をふだんから養っておくことで、多くの場合、「未病を治す」という言葉どおり、大火事になるまえの、ボヤの段階で、的確な対処や問題可決が可能なケースが多い。
● まさに、備えあれば、憂いなし、です。
● 命は、決して買い戻せませんが、いまある命を養い、もうけることはできます。また、「命もうけ」の知恵は、文字どおり、いざというとき自分の命と家族の命を救い、助ける、貴重なコンパスになりうると思います。
● とはいえ、人間という非常にわがままな動物は、あれこれ健康に良くないことばかり、やりたがるのもので、それも人間の業であり、性でしょうね。
● このような、誰にもある、わがままで自分勝手すぎる人間の特性を、ときになだめながら、また、へんに神経質な「健康おたく」になることもないように、生きた生命へのヘルスケアの知恵を養っていただくためのヒントを、あれこれ日常的なエピソード交えながらときどき、脱線もしながら書いていこうと思います。
● 書きたいことを自由に書きます。そうでないと、本当に役に立つようなこともかえって書きづらくなってしまい、ものぐさな私には面倒くさくなってきてしまうでしょうから。
● 命をもうける知恵のヒントをつかみ生かすことによって、なにより得をするのは、読者の皆さんとご家族の、やりなおしのきかない命です。ゼッタイお金で買えない生命の知恵や「命もうけ」の知恵を中心に、自在に肩に力をいれずに、眼からウロコの健康管理の知恵をお伝えしていく試みは、書き手として、何かわくわくするほどうれしい機会であり、また、それができることを誇りに思っています。日本だけでなく、世界にも心と足をのばし、単なる健康管理のお話にとどまることなく、人間模様や現場の国際事情にもふれながら、内なる生命の知恵の旅をしてまいりましょう。