統合医療とは?

 統合医療( Integrative Medicine )とは、何よりも、患者にとって最良の恩恵( Patients' Best Interest )を与えうる医療の可能性を目標において、今日の医療の中心となっている現代西洋医学のシステムや方法論だけでなく、それ以外の医療システム、すなわち、東洋医学をも含めた、さまざまな相補・代替医療( Complementary and Alternative Medicine:略してCAM )のシステムや療法を、積極的に取り入れて、統合的な治療とケアをしていこうという医療のことを指しています。

  具体的にいえば、病気の診断確定や、救急医療には、大いに現代西洋医学の医療と技術を活用し、一方で、対症療法的なアプローチでは解決できない、生活習慣病や慢性疾患、免疫性疾患などには、大いに、東洋医学も含めた、適切な相補・代替医療の知識や知恵、方法を、積極的に評価し選択して、活用していく、ということです。

  米国では、すでに国立衛生研究所(NIH)に国立相補・代替医療センター(NCCAM)が設立され、110億円を超える研究予算を使って、さまざまな相補・代替医療( CAM )について科学的な研究を行なっていますし、世界的に有名なハーバード大学医学校でも、CAMと統合医療についての研究所が設立されており、海外の大学医学校とさまざまな共同研究をやっております。

  また、統合医療(Integrative Medicine)という言葉の最初の発案者である、アリゾナ大学医学校教授 アンドルー・ワイル博士は、すでに統合医療を診療で実践できる医師育成の教育プログラムとして、統合医療プログラムという研修プログラムを、アリゾナ大学医学校で行っています。

  そのようなことがきっかけとなり、すでに全米の60%を超える大学医学校が、卒業後の課外講座として、CAMや統合医療についての講座を、開いています。

  簡潔にまとめるならば、ホリスティック医学(Holistic Medicine)を、医学と医療の総論的な姿勢、すなわち、医の背骨に当たる「医の哲学」とするならば、統合医療(Integrative Medicine)は、より具体的で各論的なもので、東西医療の積極的な協力・活用の実際的方法といったら、わかりやすいかもしれません。

 文化に歴史と伝統があり、また経済力と教育レベルの高いはずの日本が、これから統合医療の質の高い実現を果たし、これから、東西の知恵のバランスをとる役割を、世界で果たしていくことを願っています。