2005年08月21日

書評

 本来、このブログは、経営者とその家族の健康管理と「命もうけ」の知恵となるような情報や発想のヒントをお伝えすることが目的ですが、メイン・テーマ以外にも、私の眼で見たさまざまな情報をお伝えします。

 以前、ご自身のブログ記事で私のブログ記事を紹介してくださった、有名な金融コンサルタントの木村剛氏が、以前11万部のベストセラーになった本を全面的にバージョンアップされて「最新版 投資戦略の発想法」(アスコム刊)を、最近出されました。どうも、出てすぐに、またベストセラーになっているようです。投資戦略の発想法
 私は、金融関係は、まったくのど素人であり、門外漢なのですが、勉強のために購入してみました。

 読んでみて、エビデンスをきちんとデータで示しながら、バランス感覚よく、読者に対してさまざまな配慮や心配りをしつつ、金融と経済についてのモノの考え方の基本をしっかり押さえて、とてもわかりやすく書いてあることに、感心してしまいました。

 実は、はるか昔、学生のころ、経済学とか経済学者というものに大きく失望してしまったことがあり、そういう分野の人たちのいうことは、ほとんど信用していなかったので、なおさら、です。

 というのは、学生のころ、経済原論というものの講義を聴いたとたん、「人間は合理的にモノを買う」というような大前提で、ほとんどの理論が成り立っていることに気がつき、「だって、人間は、必ずしも合理的にモノを買うとは限らないじゃないか。」と疑問が湧き、これはおかしい、と思ってしまったからです。

 そういう疑問を教授にぶつけ、経済学が、経済活動という「人間の行動」の研究でもあるならば、「なぜ、経済理論に、『経済心理学』なるものがないのか?」、と突っ込むと、いやがられて、そういう領域の研究はないし、やっていない、などと、冷たくいわれてしまいました。

 また、1978年ごろ、米国で有名なマサチューセッツ工科大学(MIT)に研究留学するため、近々渡米することが決まっていた理論経済学の助教授に、「マスコミは、日本経済が不況とかいっていますが、先生は、今の日本は不況だと思われますか?個人的なご意見でけっこうですから。」と質問したところ、「ぼくは、経済の理論が専門で、現実の経済のことはわからない。」と、いわれてしまい、私は唖然としてしまったものでした。そして、「ああ、こりゃ、だめだ。経済学の机上の理論など、現実にはクソの役にも立たないではないか。」と、経済学というものに、さっさと見切りをつけてしまったのでした。私がちょうど20歳ころの話です。

 私には、経済学の理論というものは、動き出したとたんに、故障して動かなくなるポンコツ車みたいに思えました。

 私は、その当時、「人間が合理的にいつもモノを買うかのような理論は、ウソだ。人間は、感情でモノを買うのだ。」と直感していました。

 今振り返ってみれば、やや早とちりですが、けっこう本質をとらえていて的を得ていたな、と今でも感じています。

 ああ、そのころに、木村剛氏のような経済学の先生に出会っていれば、見方が変わっていたかもしれない、と思いましたね。

 木村剛先生は、ちょうど私より年齢が2つくらい下で、私と同世代に当たるので、そういう意味でも、今回この本を読んで、親しみを感じました。

 読んでみて、本当に大切な、すべての土台になるような基本をくり返し強調されているところに、思わずうなりました。

 自分を省みて、経済面でどんぶり勘定の多い私としては、これは大雑把でも家計簿をつけなくては、と大いに反省させられましたが、なるほど、と納得し、共感するところばかりでした。

 また、金融・経済のことであれ、やはり医療と同じで、付け焼刃の「対症療法」では、だめなのだな、ということを、つくづく感じました。

 やはり、基本を大切にする「根本療法」でなくては、長期的な意味で、問題は解決できないのだな、ということも、共鳴しました。

 物事の本質というものは、似ているものですね。

 根本を押さえていない、目先だけの安易な株式投資や、デイトレでのセンセーショナルな短期的成功本ばかりが目立つ現況にあって、物事を根本の基本から洞察し、「急がばまわれ」を説く、この本は貴重です。

 私なりに、この本に書かれている原理原則を簡潔に表現するならば、次のようになると思います。

 「表大なれば、裏も大なり。山高ければ、谷深し。リスクでも同じこと。ゆえに、リスクを最小限に抑え、急がばまわれ。まず、自分を知り、自分の足元より着実に始めよ。大きなしくみを知り、その性質を知り、長期的な視野で、その流れに乗り、まかせよ。細かいことにとらわれず、その流れにまかせれば、結局は大きな実りとなって収穫できる。急がばまわれば、それが結局近道になる。」

 たとえば、治療においても、アルコール性肝炎にかかっている人を確実に治そうとするならば、アルコールを毎日飲みながら治そうとすることは、論理的に考えても無理なことは当然なのですが、そういう安易に虫のいいことばかり考えるのが、多くの人間です。投資でも同じようです。

 また、自分の体のこともよく知らず、さらに、自分の体の現状や体質に合っているかどうかも考えずに、社長さん同士、ただ互いにすすめられるままに、むやみにわけもわからない健康食品をあれこれたくさん摂っている、などという現実も、木村氏が、投資について指摘している注意点によく似ています。

 どうもお金に関して、政府も銀行も、これからますますあてにならないし、たよりにならないため、自分で自分と家族の生活を守っていかなければならない、という木村氏の指摘は、まさに医療の現実において、いざというときに意外に病院や医者がたよりにならないという事実に重なりますし、双方とも、ふだんからの「備えあれば、憂いなし」という自己責任のセルフケアと予防が大切という点では、まったく同じです。

 博覧強記ともいえる豊富な金融・経済についての知識を、きちんとエビデンスをデータで示しながらも、素人にもわかりやすく、本質面から親切に解説してくれていることは、ありがたい限りです。 

 木村剛氏は、金融コンサルタント、金融職人と、自らを称し、論客としても知られているわけですが、この本は、まさに氏が、心ある良き「金融セラピスト」であり、「金融ドクター」であることをよく示していると思います。

 この本の内容を基にしたDVD「木村剛の投資家入門」も、DVDが5枚もついていておよそ1万円という安価なので、さっそく注文して、今、見て勉強しているところですが、本の内容とまさに相乗作用となって、より明確に理解できますし、何よりそのわかりやすい内容に感心しています。

 きちんとしたデータのエビデンスを伴った、わかりやすい金融・経済の知恵、お金に関するサバイバルの知恵を学べる基本テキストとして、本・DVDともども、素人の方にも玄人の方にも、心からおすすめいたします。





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