病院の治療を受けるにあたって、現代西洋医学が、150年くらい前から急速に極端なまでに細分化されて、症状や病気そのものに固執して、それを攻撃し、叩こうとする、病気研究中心の医学・医療であること、を肝に銘じておく必要があります。
すなわち、病気の原因を根本から正していくアプローチではなく、とにかく強引に病気を叩き、屈服させようとする医療が中心になっています。その方法は、症状自体を無理矢理止めようとしたり、押さえ込もうとする対症療法が主役です。
それは急場をしのぐ救急医療としては、非常にすばらしいところがありますが、それと同時に、大きな問題も引き起こしています。
私の友人の医師が、漫画家に書いてもらったイラストが、非常にあきらかにその問題点をあらしていますので、ご覧ください。百聞は一見にしかず、です。
もぐらのように次から次へ出てきては引っ込むことをくりかえしているのは、病気の症状です。その頭を、次々に医者が懸命に叩いています。
でも、なかなか治らないままなので患者もかなり苦しんできています。医者も「すぐによくなりますからね…」と言いながらも、次々にちがう場所から出てくる病気の症状のアタマを叩くことに、かなり疲れてきています。それをサポートする看護婦さんもたいへんで疲れていますね。
これが、今、医療の現場で起こっている現実そのものなのだ、ということを、しっかり認識してください。
このことが、よくわかっていないで、重大な病気にかかられたときに、自分自身の判断能力と選択肢を持たず、ただ医者まかせ、病院まかせにしていますと、薬ばかり山ほどもらっても、いっこうに良くならない場合が、かなり多くあることは、肝に銘じておいたほうがよいと思います。
その上で、どういう判断をし、どういう行動を選択していったらよいか、が決まります。現状を嘆いても、今の医療体制が改革され、本質的に変わっていくには、あと20年は最低かかります。
とすれば、眼の前に今病んでいる人がいて、20年後の医療改革を期待しても、あまり意味がありません。今ここにいる患者は、それまでとても待てないからです
このような医療の現実の問題は、心ある良医ほど、よく認識していて、今日のハイテク医療の限界も理解しているので、なるほど、そのとおりだ、と、このイラストを、苦笑いしながら受け入れてくれます。
こういう良い医者を責めたりしないでくださいね。そういう心ある医者は、患者のいうことにちゃんと耳を傾けてくれるので、ただでさえ、医療の現実の矛盾の中で、泥まみれになりながらも、なんとかより良い医療をしようと苦労されている人たちですから。
このイラストを見て、たちまち不快な顔をしたり、機嫌が悪くなるような、妙にプライドの高い医者がいますが、そういう医者は、自分の医者としてのちっぽけなプライドが優先して、患者のことは二の次で、患者のいうことには耳を傾けない傾向の医者が多く、大学病院タイプの医者でしょうから、そういう医者からは、すぐに逃げ出した方がいいでしょう。
「医者を選ぶのも、寿命のうち」ですから。
また、大学病院は、検査や病気の研究をするところであって、患者を治す場所ではない、という認識は、医師を中心とする医療関係の専門家のあいだでは、ほぼ常識ですから、病気になって、いきなり大学病院をあてにするのは、命を縮めるもとだと思います。良質な医療サービスは、大学病院には、まず期待できない現実を、しっかり認識しておいていただきたいと思います。
このイラストは、海外での国際会議や招待講演のときに、現代医療の問題点を、一目でわかるように、よくスライドで紹介しますが、英語で日本語の意味を説明したとたん、会場がどっと笑いに湧き、大きな反響があります。