2005年06月23日

生体をとり巻く環境

 今日は、本来のテーマに戻って書きます。

 いままで、どちらかというと、体の内側の環境の問題を、免疫系のはたらきを自律神経系と血液という切り口から洞察してきたわけですが、私たちは外部の環境に適応しながら生きているのですから、生体を取り巻く環境の影響も、単なるひとつの要因だけではなく、複合的なものとして考えてみる必要があると思います。

 花粉症の例にせよ、今年は花粉の量が多すぎる、というような要因も指摘できるわけですが、そのようなことが影響を強く与えてしまうような下地として、大気汚染などの外部の環境の影響も同時に考えてみる必要があります。

 生体はいつも外部の環境の影響を受けています

 たまたまこのBlogを読んでくださったTVプロデューサーの方がお便りをメールでくださいましたが、その方も、ひどい花粉症で、病院をいくつもまわっても、全然よくならないし、医師の説明にも納得がいかなかったそうです。

 その方がいうには、排気ガスなども含めて、生体をとり巻く環境が悪化し、とくに空気の汚染の問題が、前提として、すごく影響を与えているのではないか、と考察されていましたが、そのとおりだと思います。

 タバコの害がよく問題にされますが、タバコの煙いっぱいの部屋にいても死にはしないが、車の排気ガスを車のなかに引き込んで窓を閉じたままでいれば、よく一家心中などの自殺の手段に使われることからも、わかるように、死んでしまいます。ということは、車の排気ガスは、タバコの煙より毒性が強いのかもしれませんよ。

 そういう空気がとくに都市には集中してあふれているのですから、いつもそういう空気に触れている鼻のなかの粘膜や、目のところの粘膜や、気管支のなかの粘膜が、知らず知らずのうちに、いつのまにかやられて、非常に弱くなっているということも考えられます。そこに、花粉が来れば、弱った粘膜に症状があらわれるのは自然なこととも考えられます。

 中国は、今、経済の急成長を自慢していますが、その環境汚染たるやひどいもので、上海などに行くと、昼間で晴れているのに、高層ビルの上半分が、ひどいスモッグで覆われていて、まるで曇りと変わらないような状態で、大気汚染など、まったく対策がなされていません。

 上海にしばらく滞在すると、いままでなんともなかったのに、のどがどうもいがらっぽくなってきて、ひりひりするような感じで、ちょっとしたことで咳をしやすくなったものでした。のどと気管支の粘膜がやられて弱くなっているということを実感したものです。

 上海中医学院大学院で本格的に学んでいる日本人の中医師に聞いたら、たしかに大気汚染のひどさもあってか、呼吸器系の疾患の患者が多いとのことでした。

 こういう状態なら、すでに気管支の粘膜が慢性的にやられているのですから、それほど強くないはずのウイルスであるはずなのに、SARSが、上海を含めた広東省を中心に流行ったのも無理はないな、と思いました。

 いずれ環境汚染が野放しになったままの中国から、ウイルス性疾患を中心にさまざまな奇病が生まれてくるような気がしています。人間が新たな病気を自分で作り出していっているといっても過言ではありません。

 季節にともない変化する自然環境にうまく適応するべく調整できていた私たちの体は、ここ数十年で、暖房や冷房の機械にたよりすぎるようになり、私たちの自律神経は、そういう人工的な環境の変化に適応してついていくのがたいへんになってきているようです。悲鳴を上げているのかもしれません。

 そのあらわれとして、ここ10年位前から、自律神経失調がからんでいる病気が、ダントツに増えてきたように思います。

 「自然に従う者は栄え、逆らう者は滅ぶ」とは、ある哲人の言葉ですが、口から入るものを含めて、鼻から入る空気の問題等、生体に多大な影響を与える環境にも、やはり目をむけ、そのうえで、また、自分たちの健康や病気の問題を根本からとらえないと、本当の解決にはならないのだと、問題の根の深さを感じます。症状を無理矢理抑えるばかりの対症療法で、花粉症が治らないのは、当然のことといえるかもしれません。





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